本書は、ロンドンとベルリンでオリヴァー・ナイトとローリー・マクグラス(OK-RM)、そしてジェームズ・ラングドンのあいだで交わされた対話から生まれたものである。一つのアイデアとして形を変えながら構想される中、いくつものアイデアが語られ、熟考され、不採用となった。物としての仕様が定まる前に、テキストが立ち現れ始めた。杭州での展覧会が実現したことで、その構想は集約され、明確な構造を得た。インダストリアル・デザインとして形にしていくためのやり取りが、ページに重みと具体性を与えた。最終段階では、内容と技術的な構成が呼応する「同期」を目指した共同作業となり、技術的条件の連なりが内容と調和するリズムを生み出している。
本書は、OK-RMによる 『A Meaningful Order(意味のある秩序)』であり、全328ページにわたって、デザインがもつ多様で分散した現実の新たな歴史を提示している。デザインされた対象をそれぞれのあり方に即して示すことで、視覚、素材、好奇心について語る――16年以上に及ぶOK-RMの膨大な活動のアーカイブから選ばれた作品群を、特別な色彩設計による石版印刷で再現した。
本書は、アカデミックな世界と距離を保ちながら、深い探究と実験を行うための場でもあり、具体的な事例や試作、モデルを生み出す。AからZまでの26章構成を通して、デザイナーならではの文章による対話が展開され、言語、方向性、物語性を自由に操り、表現すること自体を楽しむ姿勢がはっきりと示されている。また、ジャック・セルフへのロングインタビューやリラ・マツモトによる序文など、デザインの実践者であり思考者でもある編集者たちとの継続的な対話が収められている。
社会的な文脈でいえば、本書は日用品であり、同時に芸術作品でもある。形と文脈の関係から生まれるデザインされた物とその意味を問う。それは何をし、なぜそうするのか、どのようにして成り立つのか。そして、デザインされた物が生まれてくる文化、さらには新たに生み出しうる文化とどのように関わるのか、新しい考え方を提示しつつ、透明であろうとしながらも、超越的な魅力を失うことはない。