TDC Karen ann Donnachie & Andy Simionato
NUMBERS DESIGN BY
AWARD
2024
グランプリ
Karen ann Donnachie & Andy Simionato

A Jagged Orbit

Karen ann Donnachie & Andy Simionato|A Jagged Orbit
Karen ann Donnachie & Andy Simionato|A Jagged Orbit
Karen ann Donnachie & Andy Simionato|A Jagged Orbit
Karen ann Donnachie & Andy Simionato|A Jagged Orbit

Jagged Orbit(2023年)は、白昼夢、心の迷い、動揺といった人間行動に相当するものをコンピュータで表現する自動アートシステムです。このシステムの中心は、天体の軌道(N体問題と呼ばれることもあります)を計算するようにプログラムされた特注の描画マシンです。マシンは、光沢のあるファッション雑誌の表紙にマーカーでこの軌道を描こうとします。

しかし、システムは本来の仕事から「気が逸れてしまい」、関心が内に向いたり外に向いたりすることがあります。例えば、コンピュータビジョンを使って、元になる画像(すでに描画した軌道など)にあるオブジェクト、顔、色、パターン、単語を識別し、「落書き」を思わせるものを生成して描き、元の軌道に描き加えることがあります。

このような「白昼夢」状態にある間、システムは、近くにいる人間が立てる音や話し声など、センサーを通して検知した外部からの刺激に反応することがあります。すると、マシンは「ハッとして」、天体の軌道を計算して描くという本来の仕事に即座に戻ります。システムは、これらのプロセスを組み合わせることにより、継続して再帰的に新しいフォームを識別し、自らが描いている軌道にそれを組み込んでいきます。そして軌道は常に進化していきます。

このシステムを通して、私たちは、自分たち(人間)が白昼夢を見る必要性を探っているだけでなく、「マインドワンダリング」やその他の形の抽象化の能力を持つ、いわゆる「インテリジェント」マシンを設計することの利点についても考察しています。

ますます「インテリジェント」になるマシンたちと連携し、これらのマシンを通して作業を行うという既存のアプローチの先にはどのような機会が開かれているでしょうか。デジタルプロセスにおいて、これ以上穴だらけの機能を[P1] どうすれば想像できるでしょうか。そして、これらの「注意散漫な」プロセスは、どのような新しい「ずれ」をもたらしうるでしょうか。

2023年にドイツのワイマールで開催された「xCoAx Conference for Computational Aesthetics(xCoAx計算美学カンファレンス)」で、このシステムのライブデモンストレーションが行われました。システムは、さまざまなファッション雑誌の上にいくつもの「jagged orbits(ギザギザの軌道)」を自律的に描きました。

*この作品のタイトルは、ジョン・ブラナーのSF小説『The Jagged Orbit』(1969年)から取りました。人間と非人間エージェントの関係を、あたかも軌道上にある2つの天体であるかのように想像するというこの新しいアートワークのコンテキストにおいては、この言葉が有用です。これらの軌道は時間とともに減衰し、2つの天体が衝突したときには、何か新しいものが出現して終わるかもしれません。

Karen ann Donnachie & Andy Simionato

Karen ann Donnachie & Andy Simionato [オーストラリア]
1989年から共にサイバネティック・アート、デザイン、ポストデジタル出版という幅広い分野を専門に制作を行ってきました。コンピュータビジョン、人工知能、機械学習などのテクノロジーを活用し、アートやデザインを創作するための非人間協調システムを共同で制作しています。ドナルド・トランプの全ツイートを羊皮紙の巻紙に書き込むことができるロボットスクライバーや、既存の書籍から詩的な言葉のパターンを検索し、オンデマンド印刷で自律的に再出版する非人間文章読み取りマシン、オリジナルを破壊しながら書籍のコラージュを生成するコンピュータ制御レーザーなど、これらの自律的アートシステムは、全世界の個展およびグループ展で展示されています。両名の自動アートシステムと、それらが生み出す作品は、Robert Coover Award for Electronic Literature(ロバート・クーヴァー電子文学賞)(米国)、Cornish Family Prize(コーニッシュ・ファミリー賞)(オーストラリア)、東京TDC賞(日本)など、各分野で最高評価を得ています。