紙の印刷加工会社である福永紙工と共に進めている「紙工視点」は、異分野の3組のデザイナーをキュレーションし、新しい紙製のプロダクトを開発するプロジェクトである。その2022年発表の為の告知動画群が本作品である。プロジェクトを伝える為のティザー動画、展覧会の情報告知動画、各デザイナーとプロダクトを同時に伝えるカタログ動画の3つの時間軸的段階を計画した。このプロジェクトの根幹には、そもそも紙をデザイナーがどのように捉えるのかについての視点を楽しむ精神がある。動画をデザインするにあたり、これまでのグラフィックデザインにおける紙の捉え方ではない視点を試みた。紙の物性から生まれる動きや機構自体が情報の構造体となり得ると捉え、その構造に文字を載せることで視覚体験をデザインした。すべてストップモーションによる人力で構築されている。
TDC賞
岡崎智弘
紙工視点2022


岡崎智弘 Tomohiro Okazaki
1981年神奈川県生まれ。2003年東京造形大学デザイン学科視覚伝達専攻を卒業。広告代理店、デザイン事務所勤務を経て、2011年9月よりデザインスタジオSWIMMINGを設立し活動。グラフィックデザインの姿勢を基軸に、印刷物/映像/展覧会など視覚伝達を中心とした領域を柔軟に繋ぎながら、仕事の規模を問わず、文化と経済の両輪でデザインの活動に取り組んでいる。デザインの仕事は、自分が知らない世界や事象と向き合う機会となることや、人や社会と繋がる行為となること、また世界の捉え方や構造を発見し関与することができるものであり、その可能性に大きな魅力を感じている。