TDCJean François Porchez
NUMBERS DESIGN BY
AWARD
2022
タイプデザイン賞
Jean François Porchez

Altesse

Jean François Porchez|Altesse
Jean François Porchez|Altesse
Jean François Porchez|Altesse
Jean François Porchez|Altesse

Altesse(アルテッセ)は、19世紀から20世紀にかけてフランスの銅版彫刻師によって彫られた文字を書体にしたもの。

背景 : このドローイングは、何世紀にもわたって使用されてきたフランスの銅版彫刻文字から直接的に影響を受けている。ある時代の名人が書いた文字ではなく、日常的に書かれている文字をもとにした様式を特定するというアイデアだ。19世紀初頭から、フランス貴族の公示用銅版彫刻文字にはフォーマルなスクリプトを使用することが標準になり、活字鋳造所はカッパープレートスクリプト(手で彫られた銅版彫刻文字)を金属活字の書体にしようとした。金属活字では文字を1文字ずつ別々にしなければならないが、次に続く文字とつながるようにしなければならず、複雑な作業を必要とした。なぜなら、金属活字のボディが垂直なのに対して、フォーマルスクリプトは自然と斜めに傾いているため、装飾的ストロークの終筆部のような形やつながりを入れる余地がなかったからだ。そのためには、デジタルタイポグラフィへの移行を予感させる写植が普及し、金属活字から完全に解放されるまで待つ必要があったが、写植は文字の文脈にそった多くのバリエーションと技術をまだ提供できていない。私たちは、できる限り自動でスムーズにAltesseのバリエーションが使えるように力を注いだ。

技術について:Altesseには異なるxハイト(小文字xの高さ)のオプティカルサイズ(表示される文字の大きさによって文字のデザインを変えること)のバリエーションがある。96ptバージョンには低いxハイトで高いコントラスト、16ptバージョンには高いxハイトで低いコントラストで作られている。それぞれのサイズには互換性があり、細い部分は統一されている。これは比例の原則で、つまり、アートディレクションやアナログかデジタルかの制約によって、120ptの文字サイズを96ptバージョンのAltesseで組んでもよいし、64ptの文字サイズに46ptバージョンを使ってもかまわない。使い方はあなた次第だ。Altesseのバリエーションや組み合わせはほぼ無限で、1つのグリフにつき小文字は5~6種類、大文字は2~3種類あり、異なる文脈に適応するために私たちは日々チャレンジしている。Altesseの6シリーズには、合計1957グリフ、ベジェで構成された4万7101個のポイント、36万3673種類のカーニングペアがある。さらにPythonのスクリプトが7つあり、合計で745ラインになる。また、TTXで書き出されたフォントは、669万1256ラインのコードに相当し、OpenTypeテーブルは1066ラインのコード、38個のOpenType 機能、70個のルックアップ、233個のクラスがある。

Jean François Porchez

ジャン=フランソワ・ポルシェ Jean François Porchez [フランス]
Typofonderieの創設者であり、ZeCraftのタイプディレクター。デジタルタイポグラフィのパイオニアの一人。知識の伝達者であり、才能の発見者でもあり、チームワークを重要視する。2015年にTypeParisというイベントをスタート。グラフィックデザイナーとしての訓練を受け、その間タイプデザインに集中した後、Dragon Rougeでタイプディレクターとして働き、90年代初頭にはル・モンド紙に勤務。2004年から2007年までthe Association Typographique Internationale(ATypI:国際タイポグラフ協会)の会長を務めた。2011年から2019年にかけてECV Master design & Typographyの創設者兼代表を務める。Club des Directeurs Artistiques in Paris の理事であり、NY TDCの会員でもある。1998年のPrix Charles Peignotはじめ、タイプデザインで数々の賞を受賞。2009年にFrench Who’s Whoに紹介される。2014年、Perrousseauxより単著を出版。2015年芸術文学勲章のナイト。2017年よりフランス大統領エマニュエル・マクロンが彼のタイプフェイスをコミュニケーションに使用している。