マッチ箱サイズの白箱に、自作のグラフィックをゲルインキのボールペンで描いた。暇つぶしのつもりが、だんだんとこれを作ることだけが一日の目的となり、あっという間に手元にあった白箱がなくなってしまった。
出来上がった箱を一堂に並べて見るとそれなりに爽快であったが、それ以上にこの箱の「無意味さ」が浮き出てくる。しかし、そこに言い表すことの出来ない何かが隠れているようにも思えた。
私はいままでずっと、その「何か」に触れたくて作ることを続けてきた気がするが、それは私が触れられるものなのかどうか、いまだに分からない。
文字やグラフィックは何かを表すようでいて、時々覆い隠してしまう。
TDC賞
佐藤 豊
徒箱




佐藤 豊 Yutaka Sato
1990年福島県生まれ。2013年桑沢デザイン研究所専攻デザイン科卒業。仙台のデザイン事務所を経て、2014年有限会社服部一成入社。2020年よりフリーランス。