デザインが経済の想像力から逃れられること。
TDCの意義はここにあるのでしょう。
今年の賞は「コロナ禍での受賞」です。
人々が、社会/生活/身体を、これまで持ちえなかった視座から見つめなおし、社会/生活/身体が、国家と密接であるという当たり前のことを強く意識させられました。
憲法条文と憲法施行下の戦後日本美術を素材にデザイン/構成を主軸に編集された『日本国憲法』は、表立っては国家と表現を扱っていますが、そもそも条文と掲載作品にはそこに添わざるを得ない生活が扱われています。
デザインは生活です。
誰かに「新しい生活様式」と言われるまでもなく、日々移り変わる生活を、全方位から補ったり増幅したり挑発したりするのがデザインです。
その生活が完全に変容した最初の年の賞は、これからの生活=デザインの礎になる。そんな態度をTDCは示したのではないでしょうか。
であるならば、さらに光栄な受賞でした。