オノセイゲン氏の継続した身体的、高品質の音楽と、エネルギー溢れる写真の資質がタイポグラフィやレイアウトなどを有機的に示し、デザインに様々な感情的反応を展開してくれる。
吉田多麻希氏の表現に向かう強靭な意志や、カラスへの深い情愛、クライマックスでは無いが訴求力のある必死の表情が、写真家の意図を超えた写真度の深いこの仕事の原動力である。コミュニケーションの手段として写真を考える時、イメージの喚起力とか強度、速度といった能動的な機能がグラフィックデザインに及ぼす潜在力は大きい。写真画像の底には、流動する光の痕跡がある。音楽には時間を操る力がある。制作への更なる可能性を模索して行けたらと妄想する。アルバムタイトルの他には言葉のないこの印刷物は、見る人にどんな印象を与えるのだろう。