めくる映像_特集(Movie)
「めくる映像_特集」は2018年に古書店「コ本や」にて行なわれた「めくる映像」シリーズの展覧会です。
本を読む人や映像を見る人といった「鑑賞者」たちは、常にそのメディアの中に没入することでコンテンツとかかわり合う存在です。鑑賞者とコンテンツをとりまく様子を俯瞰する「第三者の視点」への考察をきっかけに、本と、それをめくる手が登場する映像作品が「めくる映像」シリーズです。
日常の読書の際には意識に上らない「本をめくる手」は、この作品においては本の扱いを制御すると同時に、印刷されたテキストに制御される存在でもあります。ページがめくられていくことと、映像が流れていくこと、それぞれの時間はちぐはぐのまま進みます。テキスト、本、めくる手、映像。ディスプレイに現れているものは、それらの関係が未分化のまま、一層になったものです。言葉、そして文字の作用はそれらの関係をつなぐ作品の核の一つと言えます。
この作品がTDC賞にて評価され、光栄な賞をいただいたことたいへん嬉しく思います。