One Artist’s Theater(Book design)
『ワン・アーティスト・シアター』はAZ美術館による出版プロジェクトである。それは美術館所蔵の写真によるアーティスト、アナトリー・ズバレブのビジュアル物語である。この物語はアーティストの日常の生活を語る。アーカイブの大部分は素人が写したユニークなスナップ写真から成る。
この本のデザインは無作為に選んだアーカイブの写真から視覚的ストーリーを創り出し、それを本の形式に転換することが目的である。大半の写真は一人の人物のポートレートであるため、イメージが持つ性格が難しい。
写真のほとんどが家族用に撮られているため、アートと見なすことができないという事実に基づき、デザインの主な要素はスペースを構成するシステムの構造である。このシステムにより全ての物語が創られる。本の表紙は透明な赤いプラスチックでデザインされ、現像暗室のイメージを表している。この手法で、主人公が画家についての本を、写真を使って美的に展開する。最初、アーティストが生きていたソビエトの暮しの「底辺」についての本のように見える。しかしこの外見の裏に、彼の真実の物語、社会環境ではなく彼のアートの美しさを見ることができる。