Under the Radar, Underground Zines and Self-Publications 1965-1975(Book design)
1960年代中頃、アンダーグラウンドなセルフパブリッシュ作品がブームとなった。ヘクトグラフや、謄写版、オフセット印刷などの技術により、低コストで少部数の印刷物制作が可能となっただけでなく、見た目にもユニークな作品が誕生するようになったのである。「熱心なアマチュアクリエイターたち」は、タイプライターで打った文字、手書き文字、落書き、コラージュ、ポルノ写真、スナップ写真、マンガのコマなどを組み合わせて、型にとらわれないレイアウトを次々と生み出していった。こうした新しい「感性」の名の下に、タイポグラフィそれ自体が意識的に自由を得て、言語的・視覚的な表現の制約も同時になくなっていった。本書(ドイツ、ブレーメンのヴェーザーブルク美術館での展覧会に合わせて発行)は、西ドイツにおけるアンダーグラウンドなセルフパブリッシュ作品を、初めて掘り下げてまとめた書籍である。そうしたユニークな作品の数々が生まれた国際的な背景を、裏付けに乏しい歴史的逸話としてではなく、Do-It-Yourself による反逆の美的宇宙に侵入しようとする試みとして示している。それはまた、現在の「インディペンデント・パブリッシング」や、リソグラフ的なデザインなどのブームに対する、新たな見方を示す試みでもある。