O tomato Parco(Exhibition・Events, Campaing)
はじめに、この賞をくださった東京TDCに、tomato一同感謝します。また個展という舞台を与えてくださったPARCOの寛大さに、様々なかたちで展開されたすべてをプロデュースしてくれた梶原毅さんの尽きないなエネルギーに御礼を申し上げます。そして、1980年代初頭にPARCOのためにデザインされたアイコニックな文字に手を加えることを、畏れ多いことにも許可してくださった五十嵐威暢さんに感謝を申し上げます。思い出ではなく、生きたものとして、tomato結成以来25年間放出しつづける常軌を逸したエネルギーをとらえ、表現することはこの上なくむずかしい使命であり、多くの方々の協力がなければ達成し得ませんでした。特に吉川徹さん、西山琴浩さんの助けがなければ、本企画のすべては破綻していたでしょう。
すべてが半狂乱の状況のなか、グラフィックとタイポグラフィをデザインすることが正気を保ってくれました。このプロセスは、五十嵐さんのオリジナルのレターフォームを錨にすることによって容易になり、そして意義深いものになりました。彼がかつてデザインしたロゴ、とりわけ渋谷のPARCOビル正面のネオンサインは、これまで常に、そして今も生き生きとして刺激的です。ゆえにオリジナルの精神またはカタチをおとしめることなくこのサインを翻訳し、オリジナルのPARCOという文字からアルファベットの文字セットを創造するという使命。過去と現在、五十嵐さんとtomatoの対話を始めるために、フォルムに微妙に手を加える一方で、オリジナルの歴史的先行性を自明のものとしたかったのです。それを成し遂げることができたと五十嵐さんに胸をはることができれば幸いです。(ジョン・ワーウィッカー)