Matisse in the Barnes Foundation(Book design)
ポスト印象派や早期モダニズム美術の類いまれな名作を収蔵するバーンズ・コレクションに、世界で最も意義深いマティスの所蔵品のひとつがある。マティス作品の収集に最も力を入れた美術品収集家、米国人のアルバート・C・バーンズによって設立されたこの美術館は、マティスの画家としての生涯で重要な役割を果たした。1932年、マティスは、バーンズからの依頼を受けて当財団のメインギャラリーの壁画として「ダンス」を制作したことで、マティスの作品は重要な新しい局面を迎えることになる。この素晴らしいコレクションをすべて収めた同美術館初の出版物である。
三分冊1セットの894ページからなるこの大作は、マティスの著名な専門家である、美術史家のイブ=アラン・ボア氏が編集を担当。美術館が所蔵する、マティスの生涯の各時期に制作された59のすべての作品が収録され、作品のそれぞれには、作品のフルカラー画像や作品が美術館に飾られている様子を写した写真、買い取りまでの経緯と批評家の反応などが書かれた細かな説明が付されている。また、この本には、バーンズのマティスへの思い、バーンズがマティスの作品をどのように収集したのか、またどうして収集したのかや、マティスの技法に関して新しく発見された事柄について書かれたエッセイも掲載されている。マティスの作品には色彩は欠かせないものであったため、この本のデザインにはマティスからインスピレーションを受けた華やかな色彩が使用され、本格的な学識の作品のために、鮮やかで魅力的なフレームワークが制作された。膨大なコレクションを収録するため、この本はケース入りの三分冊に分けられ、バーンズ・コレクションの重要なフォーヴィスム絵画である、マティスの『生きる喜び』をイメージして、分冊のハードカバーと外箱にはそれぞれ違う色が使われた。分冊の前小口にも色が付けられ、内側の特別なページの印刷には、イタリアFavini社製のカラフルな紙が全色使われている。