こうぜい(Type design)
「こうぜい」は古筆における文字の形と言葉の関係性に着目した、独自の研究をもとに作られま した。古筆の仮名は連綿でもって綴られますが、文字のつながりをコントロールするということ は、言葉を書き手ならではの形で表現する、伝達への繊細な取り組みです。「こうぜい」はそう した美しい文字表現を強く意識しており、文字のつながりをつくり出す四種の形の仮名五十音を はじめとする多様な選択肢を書き手に提供します。そのため、OpenType フォントの高度な組版 機能を駆使して表現される文章は、書き手に高度な美意識を求めます。それは日本語タイポグラ フィの可能性を広げる、未知なる体験になると考えます。現代の組版における、言葉を伝達する 記号としての役割を越えた、文字の在り方を問う実験的制作です。日本の言葉の豊かさへの尊敬 から生まれた作品がTDC 賞でこのような評価をいただきたいへん嬉しく思います。