Symphony for a Beloved Sun(Book design)
『シンフォニー・フォー・ア・ビラブド・サン』は、ドイツのベルリンで開かれたアニッシュ・ カプーアの初めての大規模個展で発表された作品集である。現代のアート作品を1881 年に建設 されたマルティン・グロピウス・バウという古典的な環境に持ち込むことで、コントラストと緊 張感が生まれるが、この本にはそれと同じ効果がある。古典的なプロポーション、グリッド、文 字の扱い、ステンペル・ガラモン書体、赤い綴じ糸、これらすべてが、見開き2 ページに収まり きらず飛び出してきそうな作品写真(読者はこれを見て作品のスケールを思い描く)、書体を視 覚的に生かす大きな見出し、血のように真っ赤な小口、といった現代的要素と対照を成す。展覧 会のメイン作品「シンフォニー・フォー・ア・ビラブド・サン(愛すべき太陽に捧げる交響曲)」 は、大きなコンベアベルトが高い位置から美術館の床に向かって赤いワックスの塊を落とすとい う、野蛮で殺伐とした作品だ。赤い油性絵具の染みのついた表紙は、我々ブライトン・ザ・コー ナーズとアニッシュ・カプーア・スタジオによるコラボレーションである。この赤い絵具は、本 の1 ページ目からエッセイページまで染みこんだようになっている。