Anni Kuan(Catalogues)
アニ・クワンは僕の彼女だ。ということは、なんとしてもいい仕事をしなきゃならない。アニにとってビジネスのプラスにならないような印刷物や郵便代に(わずかとはいえ)お金を費やしてなどほしくない。 それは同時に、自分たちがやりたいことを(そしてアニにとってもいいと思えることを)やるということでもある。 この新聞紙を使ったデザインは、まさしく低予算であることから考えられたものだ。僕たちがアニのグラフィックに携わる前は、4色刷のポストカード1枚をバイヤーに送っていた。親切な一人のデザイナーが、ニューヨークにある韓国系の新聞印刷所について教えてくれ、そこではポストカード1枚の値段で32ページ分の印刷をやってのける。そういうわけで今や毎シーズンこれをやっている。 ファッション業界では未だ一般的ではない安価な新聞印刷は、アニ・クワンのアイデンティティとなった。厳しい条件(新聞紙を使う、最大2色+赤かオレンジか青のみ、荒さの残るハーフトーンでしっかり見える、メーリングリストは毎回ほぼ同じだから送るものはこれまでとは違うものにする)があるからこそ、この仕事が楽しい。 結果、効果抜群だ。アニはメーリングリスト上の多くの人に会い、話をし、バイヤーは送付物に感激し、コンピュータの上にプラスチック製の馬を乗せ、もう一部ほしいと言う。(メーリングリストには入っていないけれどお客となる可能性のある)多くのデザイナーは、デザイン年鑑の中でアニのブランドを知ることになる。