紙インク・猫豚男女(Experimental work)
文字をデザインする時、まずはその言葉の意味を考えた上で、
想を練り、骨を組み肉をつけ、空間を見たりしながら修正を重ねる。
そのうち、元の意味のことはすっかり忘れ、ただ形としてのバランスのみを見るようになってしまう。
そうこうして形がだんだん整ってくると、こんどはそれがなんだか退屈なものに見えてきて崩しにかかる。
たとえば骨を一本ずらしてみたりすると、思わぬ表情が生まれたりする。
こんな文字づくりの行ったり来たりと、図形を描くときの気持は、すごく似ている。
ただし順序は逆。意味のない線や面をいわば形の連想ゲームの
ようにつないだり、重ねたりしていくうちに、考えてもいなかったものが
浮かんできたりする。そんなわけで、この「猫豚男女」は漫画のようでいて、
僕にとってはとてもタイポグラフィカル!なのだ。