SEVEN EXHIBITION(Poster)
2005年の4月に、香港で行われた「SEVEN EXHIBITION」の為に制作したポスターです。
これは、2004年、ドイツの「032c」という雑誌で発表したものが元になっています。
クリエィティブ・ディレクターのJoerg Kochさんから「外側と内側」というテーマを投げかけられたのですが、直感的にビジュアルは、僕がもっともダサいモチーフと感じていた『薔薇』をイメージしました。
その制作途中、リルケの「薔薇の内部」という詩を使う事を提案されました。
翻訳を読んだ時、また、リルケやその詩の背景を知った時、僕の中にある何かが決定的に変化しました。
結果、それは、僕がずっと避けていた「美と官能」への初挑戦になり、
以来、薔薇をテーマに作品を作り続ける事になりました。
各100枚刷ったポスターには、ランダムに穴が空いています。
それは、ひとつ、ひとつをハトメを使い、気分だけを頼りに打ち込み穴を開けました。
また、赤いポスターのカタチは、ボールペンで3回だけ描きました。
少ない回数しか描かない事は、とても勇気のいる事です。
なぜならば、現在のコンピュータの発達により、労力さえいとわなければ、コストも掛からずに、いくらでも修正、変更がききます。
それは、素晴らしい事です。
しかし、それは、本当に良い事なのでしょうか?
それは、妥協のない姿勢と呼べるのでしょうか?
これは、そのような風潮に対しての僕なりの態度であり、現在の僕の考えるタイポグラフィ観なのです。