極生/生黒(Poster)
キリンビールより10円安い発泡酒の開発を依頼され、アートディレクターとして商品の基本コンセプト、味の方向性、ネーミング、パッケージデザインからコミュニケーション戦略までトータルに携わった。ビールに比べて安いことをデメリットとして受け止める「ビールの廉価版」的な従来の考え方を止め、「発泡酒は発泡酒、ビールより軽くて気軽で飲みやすい」という発泡酒の新しい価値を世の中に提示した。過剰なものを排し、飲みやすさをストレートに表現したスピード感のあるネーミングとパッケージは「極生」「生黒」のタイポグラフィと麒麟のアイコンのみで構成され、広告もまたそのデザインを主役に据えた。商品写真やシズルカット、タレントに頼る従来の広告とは一線を画し、テレビCMも一切行わずグラフィックのみで展開したこのキャンペーンは、商品のあり方同様、コミュニケーションのあり方という点においても発泡酒の新しい可能性に挑戦した。