ブック&CD-ROM「12 o’clocks」
このプロジェクトを始めるにあたり、デジタル・フォルムの表現の豊かさを追求しているうちにコミュニケーションの課題から離れてきてしまったので、そろそろ蓄積してきた技法を、なにかしらコミュニケーション機能に役立てなくてはと考えていた。ちょうど時計のスケッチを一年ほどしたためていたこともあり、1セットの時計のコレクションをダイナミックなコミュニケーションの例として取り上げるのが相応しいのではないかと思った。何しろ時間というのは私のテーマとしても繰り返し登場していたものだったので、「時」の絡むデザインに挑戦するよい機会だった。しばらく考えがまとまらずどうしたものかと迷っていたが、振り子の動きで目が覚めた。物体の自然法則が時空間での見慣れた物の動きを生み出すのだ。これら時計の作品は、物理法則をとりいれることによって時間が無理なく溶け込んだデザインとなっている。この作品が受賞したことをうれしく思い、また感謝しています。