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昨年私は銅賞を受賞し、授賞式に参加しました。その時のことは記憶に残っています。それはちょうど桜の季節でした。授賞式の後、とても素敵な日本の伝統様式のレストランで過ごしたときのことです。そこはヨーロッパからは遠く離れていましたが、一緒にいた人達のおかげですぐそこの街角を曲がったところにいるような気がしました。現代では「距離」というものがもはや物理的な性質を持つのをやめ、単に感情的な尺度になったという考えを強く抱きました。浅葉氏は冗談まじりに「トリスタンと、彼が来年受賞する金賞を祝して」と私に祝杯を手向けてくれました。私は次のようなジョークで答えました。「来年受賞するのは銀賞です。そうすればその翌年に金賞をとるために東京に再びやってこれます」。今回私が本当に銀賞を受賞したことは信じられないことで、愉快なことでもあります。本当のところ、再びこのように受賞の栄誉に預かれるとは考えていませんでした。それは、私が私自身の仕事の質を疑っているからではなく、自分一人が唯一優秀なアーティストであるわけはないからです。ひょっとしてそれは、フィクションと現実との違いを消し去り、それを予言に変えてしまう日本流の誠実さなのかも知れません。一つだけお願いがあります。どうか新しい賞を設けてください。銀と金の間のような賞を。そうすることで私自身「完璧」に到達する時を遅らせることができますから。