日本デザインコミッティー/ポスター「LIFE」
ヘンリー・ミラーは、大文字のライフを生きよと書いた。Kの文章を若い時に読んで、僕は訳も解らず、大文字のライフを生きるぞと思った。尊敬する作家の一行の文章ほど、若者にビジョンを与えてくれるものはない。鼻柱が強くなり、腕っぷしはそれほど強くないのに毎晩ケンカの夜が訪れた。ハーバード・バイヤーは25才で小文字の設計をして、建築物や印刷物に小文字だけでデザインして、いままでにない新鮮なバウハウス・タイポグラフィを誕生させた。ラテン文字になぜ大文字・小文字があるのか不思議なことだった。そんな事柄が心の中にあり、大文字と小文字を一緒に入れ込んだデザインを試みた。人間50才をすぎると、大文字の人生も、小文字の人生も歩まねばならぬと知るのである。