(株)アー・ドゥ・エス パブリシング/ブック「VISION OF JAPAN」
日本人の自分にとっても日本とは他者そのもの。怪物にも煮たそれを把えようと力んでみても不可能というもの。私が為し得ることは、”私にとって”とその言葉の前に付け加えるだろう。その方法を用いて、おぼろげにも他者の一部を、立ち上がらせることができるのだろう。それに自分が希求するのは透明。透明とは、身体に痛みを伴わず、知識や習慣によって既に多くを知っていると錯覚させる、障壁を突き破ることができる状態だ。言い換えれば、透明の状態をもたらし、私が限りなく物事や記号の核心に触れること、あるいはそれらを通過させ、表出させることである。そのことではじき出されたものが他者の生の破片、または断片であり、それらを集積することで、日本という他者の新しい輪郭を浮かびあがらせるのだ。この所作、つまり”私にとって”の作業によって、他者としての日本が、私という在りかたを意識させることになる。