カタログ「Susan Cohn Workshop 300」
オーストラリアのジュエリー・デザイナー、スーザン・コーンが東京で開催した回顧展のためのルーズリーフカタログである。リサイクルボードを使用したカバーはカタログの本文と同様にシンプルにし、またフォルムとタイポグラフィを駆使し、彼女の作品にふさわしい美の雰囲気をつくった。細長くエレガントなフォーマットはジュエリーそのものの優雅さと調和。指輪、ブレスレット、イアリングといったアイテムを日本語、英語両方のテキスと共に見開きごとに紹介している。「翻訳」という美。二つの言語は組織的なブロックとして見事に均整がとれ、どちらが優勢ということもなくそれぞれを照らしだし、ダイナミックな緊張感を各ページに与えることができた。同様に、テキストと写真イメージとの結びつきが細くダイナミックな構成を生み、空間をより効果的にした。ジュエリーそのものに重きを置きながら、瞑想的な世界を演出。抽象的な空間に浮かべた影のない原寸大のジュエリーは、まばらさゆえの効果や、瞑想的な世界が醸し出す効果を助長している。カタログはモノトーンで構成。ノンブルは慣習にとらわれず連続する点によって表した。スピリチュアル、簡素、明快、ダイナミックそして混沌の中のモダニスト-そのようなジュエリーを語るグラフィックデザインとなった。